孫安陽氏公聴会(2024/1/23)

博士課程の孫安陽氏が下記により博士論文公聴会を行いました。

  • 講演者:孫 安陽 氏(博士課程3年)
  • 演題:物質移動が木質部材の火災後の燃え止まり現象へ及ぼす影響に関する研究
  • 本論文は、木質建築部材の耐火性に関して、火災加熱時の材料内の熱および物質移動の観点から実験および解析を実施し、燃え止まり現象に及ぼす影響を考察したものである。まずはじめに、火災加熱を受ける木質部材内部の熱・物質移動モデルを構築し、部材内部の温度、含水率、空隙内ガス流速、空隙内ガスの化学種成分(酸素、二酸化炭素、可燃性ガス等)の質量分率を予測する方法を提案した。モデルに用いる物性値に関しては、木材の乾燥工学等に関わる文献等を網羅的に調査するとともに、平衡含水率、熱分解速度、炭化層の亀裂パターン、収縮係数等については、自ら測定して定量化した。数値解析手法に関しては、連立偏微分方程式となる支配方程式をコントロールボリューム法で定式化し、プログラミング言語Pythonで記述して数値解析を行った。コーンカロリーメータによるカラマツ小片の加熱実験および小型耐火試験炉によるカラマツ集成材壁の耐火試験を行い、温度および含水率の時間的経過を加熱中および冷却中を通じて測定し、最終的な炭化性状を冷却後に測定した。これにより、材料内の熱と水分の移動性状を直接把握した。その上で、実験結果と熱・物質移動モデルによる計算と比較し、比較的良く一致することを確認した。さらに、熱・物質移動モデルを用いて、各種条件が燃え止まり性状へ及ぼす影響を検討し、木質部材の火災時の性状予測と部材開発および設計のための知見を得た。
  • 日時:2024年1月23日 14:00~15:45
  • 場所:桂キャンパスC2棟102講義室およびzoom による配信