当研究室の研究内容を紹介します。
都市と建築の温熱環境制御
オフィスビルなどの執務空間、駅舎などの交通空間といった建築と都市を構成する空間における温熱環境および光環境を、省エネルギーおよびCO2排出削減に配慮しつつ総合的に制御する方法論を研究します。また、屋外空間での夏季の都市空間の暑熱化を防止するためには、建物間の風通しを保ち、日射熱の集積を防止する配置計画と外皮材料の選択が求められます。実測調査で撮影した赤外線写真(温度分布)では、樹木による日陰は局部的な低温部(クールスポット)を形成しますが、レンガやコンクリート等の人工物は高温化して都市の暑熱化を助長します。
- 実建物における空調エネルギー効率の分析
- 中庭空間の温熱環境の実測
- 路面店開口からの冷気流出
- 宿泊施設における給湯エネルギー使用量
火災安全の見える化
火災は、しばしば人命を奪う危険な災害ですが、なかなか撲滅できません。一つの理由は、火災は滅多に起こらないと思っている人、起こっても自分だけは大丈夫と信じる人が多いことが理由の一つです。たとえば身近な空間にあるクッションが燃えたらどうなるでしょうか。このように、起こり得る火災の姿を可視化・定量化して、建築および都市空間での火災被害を予見し、抑止するための技術を研究しています。
- 立体可燃物の燃焼拡大モデル
- 室内での可燃物の燃焼性状
- 壁際での火炎の傾斜
- コーンカロリメータ試験装置と着火性試験装置における材料表面の熱伝達
- コーンカロリメータによる材料表面の燃え拡がり測定
- 室内装の燃え拡がり
- 温度センサーを利用した火災感知
- ダブルスキン建築における火災時の煙拡散性状
- 水平開口を通過する煙の流れ
- 空調吹き出し気流による煙の巻き込み
- 火災リスク評価
火災に強い建築構造
鉄やコンクリート等の建築構造材料が火災に耐えられるかどうかは、高温強度等の特性によります。鉄やコンクリート等の不燃材料であっても高温になると強度と弾性が低下します。また、ある種の材料は、火災による急激な変化に耐えられず破壊するものもあります。そのため、材料の高温性状を調査し、適材適所で使うための研究を行います。また、一般の木材は燃えると崩壊するので大規模な建物には使えませんが、樹種を念入りに選び、適切な材料と組み合わせると、火災の熱に耐えて自らの力で燃え止まるようになります。「燃えても倒れない木造建築」で木造建築の可能性を広げるための研究を行っています。
- 高強度コンクリートの爆裂性状
- 木造部材の燃え止まり設計
- 木材の炭化層形状のモデル化
建築材料の光学特性
建築材料における光の反射は、正反射性(鏡面反射)するものや均等拡散散性のもの、またその中間的なおのがあります。このような反射指向特性は、室内での視野輝度分布形成に深い関わりがあります。そのため、材料表面における反射指向特性を測定し、そのモデル化を行っています。
- 建築材料の指向反射特性
- 指向反射特性を考慮した室内空間の輝度予測